【コラムNo.7】宮坂昌之先生の論文紹介

当協会の顧問である、宮坂昌之教授による海外の論文紹介第1弾です。感染症や免疫に関する有益な論文を適宜これからご紹介していただきます。

Flu Vaccine Remains Highly Effective Against Pediatric Mortality

(インフルエンザワクチンは小児の死亡に対して依然として高い有効性を示す)

JAMA Medical News/Samantha Anderer、2026年7月24日オンライン公開(doi:10.1001/jama.2026.9486)

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2852257?fbclid=IwY2xjawTyR5xwZG9mBWV4dG4DYWVtAjExAGJyaWQRMVlseVNTdG1aQVV6bTh1SFRzcnRjBmFwcF9pZBAyMjIwMzkxNzg4MjAwODkyAAEefPa9vi9rw_1RihvgNDy_VcSSOwg5NYyYRV2tZKzpSsTnXa363os0cAYj9Y0_aem_FOZGpcRzQSFHFPbkaLO1Bg

7月4日号の専門誌JAMAのニュース欄に、アメリカでは2016年8月から2025年7月の9年間の間になんと1234人もの子どもたち(生後6ヵ月から17歳)が、インフルエンザが原因で死亡していたことが紹介されています。

死亡者のうち、ワクチンをしていたのは、持病がある子どもで23%、持病のない子で13%と、接種率が非常に低かったことがわかりました。一方、この期間におけるワクチンの有効率は、持病のある子どもたちで77%、持病のない子どもたちで88%と非常に高かったことから、ワクチン接種をしていたらこれらの死亡者の多くは死なずに済んだ可能性があります。

アメリカでも日本と同様に、一部の親たちがワクチンの安全性に疑義を示したり、インフルエンザは大したことがないと言うのですが、実は年間100人以上の子どもたちがインフルエンザで死亡しているということには目を向けない人たちが多いようです。

そんなことから、インフルエンザワクチンの場合、ワクチン接種をする意味は感染防止というよりも重症化防止である、ということをしっかりと社会に知らせるべきであろうとこの記事は結んでいます。私もまさにその通りだと思います。

内容の要旨

米国では2016年8月〜2025年7月に、生後6か月〜17歳の小児で検査確定インフルエンザ関連死が 1,234例 発生した。Pediatrics に発表されたCDCの研究がこの期間のワクチン有効性(VE)を推計した。

死亡した小児のうち完全接種済みだったのは、基礎疾患のある児で 23%、基礎疾患のない児で 13% にとどまった。死亡例の約半数(52%)は基礎疾患のない健康な小児だった。

死亡に対するワクチン有効性:

対象VE
全体80%
基礎疾患あり77%
基礎疾患なし(健康児)87%
基礎疾患あり・A型68%
基礎疾患あり・B型77%
基礎疾患あり・生後6か月〜4歳83%
基礎疾患あり・13〜17歳66%
健康児・生後6か月〜4歳89%
健康児・13〜17歳80%

一方で全米の小児インフルエンザワクチン接種率は 49% と低迷しており、2024–25シーズンには 289人 の小児がインフルエンザで死亡した。これは全数報告が始まった2004年以降で最多である。

併載のコメンタリーは、ワクチン忌避の背景に「安全性への懸念が有益性の認識を上回っている」状況があると指摘し、「すべての感染を防ぐ」という説明から、死亡を含む重症化の予防を前面に出すメッセージへの転換を提言している。

Sources: